「鎌倉」観光客が前年比182%増でどこも行列…いま混雑必至なスポットは?
旅行先として、安定の人気を維持している日本。現在は円安の影響により、更に海外からの旅行者が急増しています。そんな日本を旅する旅行客が訪れる観光地の中で、ジワジワと人気を高めているのが「鎌倉」です。
2023年5月に神奈川県鎌倉市が発表した2022年度の観光客数は1,196万人と、前年の656万人と比べて約182%増という結果に。コロナ流行前の観光客数に戻りつつあります。
同年10月には外国人旅行客の入国が解禁されてからはさらに観光客が増加し、住民の生活に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム(観光公害)」も深刻化していると大きな話題になりました。
もとより観光名所である鎌倉駅や江ノ島エリアはもちろん、アニメ「スラムダンク」の聖地である鎌倉駅前高校駅の周辺は、観光客による混雑やゴミの放置などのマナー違反が問題になっています。
現在の状況を鑑みて、鎌倉市ではどのような対策を検討しているのか、また外国人観光客から注目されている鎌倉の観光スポットについてもご紹介していきます。
観光客急増による、鎌倉の「オーバーツーリズム」対策
現在、全国の観光地で「オーバーツーリズム」対策に関する議題があがっていますが、鎌倉市ではコロナ流行前から「パブリテック」を用いて観光妨害解消に努めてきました。
「パブリテック」とは、公共(パブリック)と技術(テクノロジー)を掛け合わせた造語であり、AI技術などを活用しながら社会課題を解決すること指します。
たとえば「鎌倉観光混雑マップ」は、鎌倉市内の人気観光地の混雑状況をAI解析し、地図上で表示。1週間の混雑予測を時間帯別にカレンダーで確認することができるので、混雑を避けて快適に観光することができます。
鶴岡八幡宮などの観光名所も、境内にライブカメラを設置して混雑状況をリアルタイムで配信。観光客の行動分析を可視化し、発信しています。
ですが、聖地巡礼スポットとして脚光を浴びる鎌倉高校駅前踏切や、大仏がある長谷駅周辺など、混雑を把握した上で観光客が集まる人気のエリアには、そこまで効力を発揮しているとは言えない状況です。
交通混雑の緩和が課題
オーバーツーリズムにより、被害を被るのは地元住民の方々です。
地元住人の通勤・通学の妨げにならないよう、過去には「ロードプライシング※」の導入なども検討されましたが、2023年現在まだ実現に至っていません(※特定の道路や地域、時間帯における自動車利用者に対して課金することにより、自動車交通量の抑制を図る施策)。
とくに人出の多かった今年のゴールデンウィークには、江ノ電鎌倉駅の改札内に人が入りきらず、入場規制が行われていました。入場するのに30〜40分ほどの時間を要します。
観光客でごった返す大型連休に、住民たちが日頃利用する電車に乗れないなどの被害が発生しないよう、期間中は沿線住民等が鎌倉駅に優先入場できる社会実験も数年行われていますが、あくまで一時的な解決に過ぎません。
国は先月、オーバーツーリズムの対策パッケージ案を取りまとめ、国として総合的な支援を行う方針を示し、11月6日には神奈川県藤沢市でオーバーツーリズム防止対策を話し合う協議会の初会合が開かれ、問題の解決に向けて意見が交わされました。
来年の大型連休も同様に、インバウンドを含め多くの観光客が訪れると見込まれています。具体的な施策や導入スケジュールがどのように決定するのか、今後の動きに注目が集まります。